An Unfinished Archive
2025.11.15
03-internet
インターネットは、記録の速度を変えた。 出来事は整理される前に共有され、意味が確定する前に拡散される。記録と解釈の順序は入れ替わり、理解は常に後追いになる。 ここでは、文脈が不足していること自体が問題にならない。 断片は断片のまま流通し、切り取られた状態で参照され続ける。全体像を知ることよりも、即座に反応できるかどうかが優先される。 記録は残りやすくなったが、滞在は短くなった。 大量の情報が同時に存在し、それぞれが同じ重さで並べられる。その結果、重要度は相対化され、時間軸は平坦になる。 インターネット上では、未完成であることは欠点にならない。 むしろ、完成していないからこそ共有され、反応を引き出す。意味は固定される前に消費され、更新される。 この環境では、記録は保存のためのものではなく、循環のためのものになる。 何が正確で、何が誤っているかという判断は、しばしば後回しにされる。正しさよりも、到達範囲の方が優先される。 ここに残されているのは、その過程で取り残された断片である。 反応の波から外れ、流通を終えたもの。かつては参照されていたが、今は文脈を失った状態で存在している。 インターネットは記録を増やしたが、意味を保存することには成功していない。 このアーカイブは、その失敗の痕跡を、修正せずに並べている。